極小センサーが内蔵された医薬品(錠剤)が米国で承認されました。服薬データが自動で記録され、それをスマホで確認できるようです。映画の世界みたいですね。
製品は大塚製薬のエビリファイ マイサイトです。エビリファイは統合失調症や双極性障害(躁鬱病)などの治療薬で、その錠剤に約3mmのセンサーが埋め込まれています。大塚製薬のニュースリリースはこちらです。・世界初のデジタルメディスン「エビリファイ マイサイト(Abilify MyCite)」米国承認
http://www.otsuka.co.jp/company/release/detail.php?id=3319エビリファイ マイサイトについて
「エビリファイ マイサイト」に使用される錠剤は、エビリファイの錠剤に摂取可能な極小センサーを組み込んで製造したものです。このセンサーは胃液に接するとシグナルを発し、患者さんの身体に貼り付けたシグナル検出器「マイサイト パッチ」が服薬の日時を記録します。その後センサーは体内で消化・吸収されることなく、安全に体外に排泄されます。「マイサイト パッチ」は患者さんの活動量などのデータも記録し、専用の「マイサイト アプリ」にデータを送信します。患者さんは「マイサイト アプリ」で服薬状況や活動量を確認することができ、気分や睡眠の状況を入力することも可能です。また、患者さんが同意をすれば、家族、医療従事者、介護者もデータを確認することができます。日経ビジネスの記事も紹介しておきます。イラストがあるのでわかりやすいです。・医療費削減に効く「飲むセンサー」大塚製薬の世界初“IoT薬”が米国で承認
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/depth/112000826/?ST=pc ざっと調べてみたところ、特許はプロテウス社が持っているみたいです。・米国特許(出願US20100185055A1/登録US8858432B2)
https://www.google.ch/patents/US20100185055
https://www.google.ch/patents/US8858432?hl=ja・対応日本特許(JP5706504:J-PlatPatのリンクはこちら)
JP5706504の請求項1は下記の通りです。広いですね。
請求項1は拒絶理由が出ておらず、補正無しで特許になっています。「【請求項1】
摂取可能な事象マーカであって、
2つの電極を含み、体液と接触したときに電池電圧を供給する電池セクションと、
識別コードを生成するIC回路と
を含み、
前記IC回路は、
前記識別コードを表すコード化された信号を生成する制御論理と、
インピーダンス検出回路であって、前記2つの電極間のインピーダンスを検出し、そして、インピーダンスの低下を検出したときに前記IC回路を活性化するインピーダンス検出回路と
を含む、摂取可能な事象マーカ。」記事を読んでいて、パッチを体に貼り付けておくのが面倒そうだなぁと思い、もしかしてそれを課題にした改良出願してるかなと思ったら、それっぽい改良出願がありました。さすがです。・パッチなしの改良特許(JP6144678:J-PlatPatのリンクはこちら)
この特許の課題と請求項1は下記の通りです(下線部は補正箇所)。「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IEMデバイスの摂取を検出するパッチの着用に関連するさまざまな問題に対処するためには、パッチを撤廃し、モバイルデバイス(可搬装置)と直接通信を行う必要性がある。モバイルデバイスは、患者がパッチを着用する必要なく、控えめで人目に付かない方式のIEM通信を提供する。
【請求項1】
摂取可能事象マーカによって生成される電気信号を検出する可搬装置であって、
摂取可能事象マーカによって生成される電気信号を検出装置から受信する検出サブシステムと、
前記電気信号を復号するために前記検出サブシステムに接続される処理サブシステムと、
復号された前記電気信号を無線ノードに送信するように構成される無線サブシステムと、
ハウジングと
を備え、
前記検出装置は前記ハウジングと一体化されていること
を特徴とする可搬装置。」エビリファイは統合失調症や双極性障害(躁鬱病)などを適応症とした薬ですが、センサー内蔵の錠剤は他の適応症の薬でも開発されているのでしょうか。
調べてないのでわかりませんが、飲み忘れを予防する観点からは、認知症薬がよさそうに思います。
認知症薬(錠剤)は、に日本ではアリセプト、メマリー、レミニールがあります。アリセプトは特許切れで後発品もたくさん出ています。
センサー内蔵の錠剤を開発・発売できれば、他の薬と差別化できて売上を伸ばせるかもしれませんね。
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