欧州特許庁の維持年金は高いが、10ヶ国にバリデーションするならそうでもないという話

欧州特許庁への特許出願では日米とは異なり、特許が登録になる前から維持年金費用が発生します。
2018年2月時点では、欧州特許庁へ支払う費用は下記の通りです。分割出願にも親出願の出願日を基準として維持年金が発生します。(2020年4月に料金改定があったため、括弧内に追記しました。)

 3年度:470 EUR (2020年4月以降:490 EUR)
 4年度:585 EUR (2020年4月以降:610 EUR)
 5年度:820 EUR (2020年4月以降:855 EUR)
 6年度:1050 EUR (2020年4月以降:1090 EUR)
 7年度:1165 EUR (2020年4月以降:1210 EUR)
 8年度:1280 EUR (2020年4月以降:1330 EUR)
 9年度:1395 EUR (2020年4月以降:1450 EUR)
 10年度以降各年:1575 EUR (2020年4月以降:1640 EUR)
これが結構高いので、早く特許にして維持年金費用を節約するという進め方があります。
審査を早める方法としては、欧州移行時に規則161及び162(補正の機会)の通知を放棄する方法や、PACE(早期審査)を請求する方法などがあります。
規則161及び162の通知の放棄は移行時に書面にチェックを入れるだけなので追加費用はかかりません(SKの場合は)。
PACE
は特許庁費用がかからず、手続き的にも簡単なので代理人手数料は比較的安いです。
ただ、早く特許にしたとしてもバリデーション(各国で有効にする手続き)後に各国で年金がかかるので、結局どうなのっていう疑問があります。

ドイツ、イギリス、フランス3カ国(合計)や、それより少ない国数にバリデーションする場合は、欧州特許庁の方が高いようですので、維持年金的には早く特許にすると節約になるようです。
20年など極端に遅くに登録になる場合は除きます。)
では10ヶ国だとどうでしょうか。
ざっと計算したところ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、トルコ、ポーランド、ベルギー、スイス、オランダ(合計)の5年度年金は848 EUR7年度年金は1473 EUR10年度年金は2526 EURでした。

この感じだと、10ヶ国出す場合は早く審査を進めても維持年金のメリットはほぼなさそうです。

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