<判決紹介>
■コメント:
被告化粧料が「部分肥満改善用」の構成要件を充足するかどうかという点について、広告宣伝(ウェブ、商品説明書)の内容から、充足すると判断した事例。 ☆☆
■平成23年(ワ)第4836号 特許権侵害差止等請求事件
■平成25年1月17日判決言渡、大阪地方裁判所
■原告: 株式会社メディオン・リサーチ・ラボラトリーズ
■被告: 有限会社サンクス製薬 等
■特許: 特許第4659980号
■請求項1:
部分肥満改善用化粧料,或いは水虫,アトピー性皮膚炎又は褥創の治療用医薬組成物として使用される二酸化炭素含有粘性組成物を得るためのキットであって,
1)炭酸塩及びアルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物と,酸を含む顆粒(細粒,粉末)剤の組み合わせ;又は
2)炭酸塩及び酸を含む複合顆粒(細粒,粉末)剤と,アルギン酸ナトリウムを含有する含水粘性組成物の組み合わせ
からなり,
含水粘性組成物が,二酸化炭素を気泡状で保持できるものであることを特徴とする,
含水粘性組成物中で炭酸塩と酸を反応させることにより気泡状の二酸化炭素を含有する前記二酸化炭素含有粘性組成物を得ることができるキット。
■裁判所の判断:
「(3) 「部分肥満改善」について
ア 被告各製品に係る広告宣伝
後掲各証拠によれば,被告各製品の広告宣伝には以下の記載がされているものと認められる。
(ア) 被告製品1を紹介するウェブページ(甲10の2)
「肌自体が健全になり,代謝が活発化。余分なもの(老廃物・メラニン)をどんどん排泄することで皮膚がしまって透明感のある小顔へと導きます。」「エステサロン生まれのリフトアップ」
(イ) 被告製品2を紹介するウェブページ(甲12の1)
「たった1回で顔やせ,美白を実感。」
(ウ) 被告製品5の商品説明文書(甲16)
「KIARA(CO2ジェル)は,傷の治療薬の研究過程で発見されました。本製品の製造の元になった医薬品は,深い傷を早くきれいに治しましたが,同時に脂肪がなくなっていくのを試験担当ドクターが発見したのです。
そこで,その医薬品を自分の顔半分に塗布したところ,誰が見てもはっきりわかるほど顔半分が見事に痩せました。この結果をうけて皮膚科や美容外科のドクターに協力を求め効果を検討したところ,顔痩せはほぼ100%誰にでも効くことがわかりました。」
「3,部分痩せ
毎日パックします。
早い人は1週間で効果が出せますが,普通は1ヶ月を目安にしてください。
美白効果が出にくい人でも顔痩せ効果は確実です。
腕・足・腹部にも効果がありますが,2ヶ月以上の使用が必要です。」
・・・。
イ 構成要件充足性
前記アの被告各製品に係る広告宣伝の内容からすれば,被告各製品は,小顔効果,顔やせ,部分痩せの効果を奏する化粧料として販売されていることが認められる。
そうすると,被告各製品が本件各特許発明の「部分肥満改善用化粧料として使用される」という構成を文言上充足することは明らかである。
被告らは,前記アの被告各製品に係る広告宣伝には関与していない旨主張する。しかしながら,上記各広告宣伝は,その体裁・内容自体からして真正に成立したものであると認めることができる(被告らも第三者の作成名義で真正に成立した文書であることについてまで争っているとは解されない。)。そして,被告各製品について上記のような類似した広告宣伝がされていることからすれば,被告らが,小売店等に対し,上記のような作用効果を奏する化粧料として被告各製品を販売していることは優に認められるものというべきである。」
判決文はこちらから
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