3月10日付の日経新聞で、
「AI特許 米中が逆転 上位50に中国19社、国策映す」
という記事がありました。2016~18年の3年間で公開された特許(日米欧中WIPOなど)の出願件数を調べたそうです。調査はパテント・リザルト社の協力で行ったそうです。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO42267450Z00C19A3EA1000/一方で、2月1日付のSankeiBizで、
「AI特許出願企業、日本勢が健闘 WIPO報告書 上位10社中6社占める」
という記事がありました。こちらはWIPOの報告書をもとにしています。・SankeiBiz
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190201/mca1902010500003-n1.htmどちらも1位IBM、2位マイクロソフトまでは同じですが、他は結構違います。
日経は米中が強い感じで、SankeiBizは日本が健闘した内容になっています。
この差異は、調査対象年、調査対象国などの違いによると考えられますが、このように特許ランキングは作り方・見せ方によってイメージを変えられるので注意が必要です。ちなみに、中国網日本語版はSankeiBizと同じWIPO報告書に基づいて、
「AI特許、米中が世界をリード WIPO報告」
という記事を出しています。・中国網日本語版
http://japanese.china.org.cn/business/txt/2019-02/01/content_74433027.htmこの件に限ったことではないのですが、母集団を作るときの検索式の違いによって特許ランキングの結果は大きく異なります。
わかりやすいところだと、検索式に特許分類だけを使用する場合、キーワードだけを使用する場合、それらの併用の場合で違います。また、AI特許をどう定義するかにもよります。例えば、明細書のどこかに人工知能(及び関連ワード)の記載があったら全てAI特許とするのか、もしくは、その記載が特許のメイン技術に関与しているときのみAI特許とするのかによっても、母集団が大きく変わってきます。私の方でAI特許を検索したところ、対象国を日本のみにすると、IBMとマイクロソフトの順位はかなり下がりました。日本にはあまり出願してないようです。
というわけで、特許ランキングの評価って難しいって話でした。
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