<判決紹介>
・平成27年(ケ)第10166号 審決取消請求事件
・平成28年11月16日判決言渡
・知的財産高等裁判所第2部 清水節 片岡早苗 古庄研
・原告:イーライ・リリー・アンド・カンパニー
・被告:沢井製薬株式会社
・特許2749247■コメント
新薬 vs ジェネリックの無効審決の取消訴訟。
無効審決は維持されました。
特許2749247の訂正請求項1は下記の通りです(下線は訂正箇所)。「【請求項1】
ラロキシフェンまたはその薬学上許容し得る塩を活性成分として含む,ヒトの骨粗鬆症の治療または予防用医薬製剤であって,タモキシフェンより子宮癌のリスクの低い医薬製剤。」甲1に、高齢卵巣切除ラットにラロキシフェンを投与した結果、灰密度の低下遅延が起きたことなどが記載されており、そのラットの結果がヒトに適用できると当業者が考えるか(ヒトでの骨粗鬆症治療効果を予測できたか)、などの点が争点となりました。
この点に関して、裁判所は、「・・・甲1実験系には,ヒトの閉経後骨粗鬆症動物モデルを用いた実験として,不適切な点は見出せず,甲1実験系によって得られた「ラロキシフェンは卵巣切除による灰密度の低下を有意に遅らせた」との知見を,ヒトの骨粗鬆症にも応用できるとする十分な根拠があるということができる。」と判断しました。
なお、原告は先発品のエビスタ錠60mgを販売しています。有効性分はラロキシフェン塩酸塩、効能・効果は閉経後骨粗鬆症です。
被告は後発品のラロキシフェン塩酸塩錠60mg「サワイ」を販売しています。有効性分、効能・効果は先発品と同じです。
一連の流れは以下の通りです。○1998.02.20: 特許2749247が登録(ラロキシフェンの骨粗鬆症治療用途)
○2004.05.12: 原告がエビスタ錠60mgを発売
○2013.07.29: 被告が無効審判を請求
○2014.10.27: 原告が訂正請求
○2015.04.15: 無効審決
○2015.08.20: 原告が審決取消訴訟を提起
○2015.12.11: 被告がラロキシフェン塩酸塩錠60mg「サワイ」を発売
○2016.11.16: 請求棄却 ← 今回
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