<審決紹介>
・無効2017–800008
・審決日:2018年6月7日
・合議体:審判長 特許庁審判官 關政立、審判官 田村聖子、審判官 冨永みどり
・請求人:サン ファーマ グローバル エフゼットイー
・被請求人:ジェネンテック,インコーポレイテッド
・特許5870067
・発明の名称:IL–17産生の阻害■コメント
抗体特許の無効審判を紹介します。
独立請求項1、13は以下のとおりです。「【請求項1】
T細胞をインターロイキン-23(IL-23)のアンタゴニストで処理する工程を包含する方法により、前記T細胞によるインターロイキン-17(IL-17)産生を阻害するための組成物であって、有効成分として前記アンタゴニストを含み、前記アンタゴニストが抗IL-23抗体または抗IL-23レセプター抗体である、組成物。
【請求項13】
有効量のインターロイキン-23(IL-23)のアンタゴニストを哺乳動物被験体に投与する工程を包含する方法による、前記哺乳動物被験体中のインターロイキン17(IL-17)の上昇した発現によって特徴付けられる炎症疾患の処置のための組成物であって、前記炎症疾患が、慢性関節リウマチ(RA)、乾癬、及び、対宿主性移植片反応から選択され、有効成分として前記アンタゴニストを含み、前記アンタゴニストが抗IL-23抗体または抗IL-23レセプター抗体である、組成物。」請求人のサンファーマは、3月に抗IL23抗体を有効成分とするILUMYA(tildrakizumab-asmn)について、米国でFDA承認を受けたそうです。・Sun Pharma Announces U.S. FDA Approval of ILUMYA™ (tildrakizumab-asmn)) for the Treatment of Moderate-to-Severe Plaque Psoriasis
https://www.prnewswire.com/news-releases/sun-pharma-announces-us-fda-approval-of-ilumya-tildrakizumab-asmn-for-the-treatment-of-moderate-to-severe-plaque-psoriasis-300617454.html米国ファミリーで特許になっているものの請求項1は以下のとおりです。
「US75107091. A method for the treatment of an inflammatory disease characterized by elevated expression of interleukin 17 (IL-17), comprising administering to a mammalian subject, having been determined to express an elevated level of IL-17 compared to a healthy individual, an effective amount of an anti-interleukin-23 (anti-IL-23) antibody or an anti-interleukin-23 receptor (anti-IL-23 receptor) antibody.
US8287869
1. A method for treatment of an inflammatory disease in a human subject comprising measuring the expression level of interleukin-17 (IL-17) in said subject, and, if the IL-17 expression level is determined to be elevated, treating said subject with an effective amount of an anti-interleukin-23 (anti-IL-23) antibody or an anti-IL23 receptor antibody.」無効審判の争点は、明確性要件、サポート要件、実施可能要件、産業上利用可能性、新規性、進歩性です。
以下、サポート要件について紹介します。
(新規性・進歩性に関して、「本件特許発明13は、特定炎症疾患のうち、IL-17の上昇した発現がみられるものを特に治療対象として選択している発明」であるという点から興味深い判断がされていますが、省略します。)請求人は以下の主張をしました。●審決-------------------------------------------------------------------------------------------
2. 無効理由2(サポート要件)
以下のとおり、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定に違背するものである(特許法第123条第1項第4号)。
(1)無効理由2-1
上記無効理由1-1のとおり、本件特許の請求項1~12の記載は、その用途につき不明瞭であるが、仮に本件特許発明1~12が医薬用途発明に係るものである場合、本件特許の発明の詳細な説明の欄には、「T細胞によるインターロイキン-17(IL-17)産生を阻害する」ことにより何らかの疾患を治療し得ることは示されておらず、またそのことが本件特許の出願日前の技術常識ともいえない。 また、上記無効理由1-2で指摘したとおり、仮に本件特許発明13~15、17~25における「インターロイキン17(IL-17)の上昇した発現によって特徴付けられる」との事項が、特定炎症の発症機序であることを意味する場合、換言すれば、IL-17産生を阻害することにより特定炎症を処置する意味に解されるところ、本件特許の発明の詳細な説明の欄には、「T細胞によるインターロイキン-17(IL-17)産生を阻害する」ことにより特定炎症を治療し得ることは示されておらず、またそのことが本件特許の出願日前の技術常識ともいえない。 したがって、本件特許発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものということはできない。(2)無効理由2-2
本件特許発明13~15、17~25における「インターロイキン17(IL-17)の上昇した発現によって特徴付けられる」との事項が、仮にIL-17の上昇が見られた症例のみを治療対象とすることを意味する場合であっても、当該「上昇した発現」とはどの程度のレベルを指すのかが、本件特許の発明の詳細な説明の欄に記載されていないから、本件特許発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものということはできない。
------------------------------------------------------------------------------------------------審判官は下記の通り判断しました。請求項1については、明細書の記載からIL-17の産生が抗IL-12抗体により阻害されることが理解できるとし、請求項13については、先行文献(乙1等)を根拠にして、慢性関節リウマチ、乾癬、及び対宿主性移植片反応を治療可能と認識できたとし、サポート要件を満たすと判断しました。●審決-------------------------------------------------------------------------------------------
2. 無効理由2(サポート要件)について
(1)無効理由2-1について
ア. 本件特許発明1~12について
・・・本件特許明細書の段落【0071】~【0081】、図2A、図2B及び図2Cの記載から、IL-23によりT細胞からのIL-17の産生が促進されることが理解でき、さらに段落【0083】及び図4Aの記載から、上記の産生促進は、抗IL-12p40抗体により阻害されることが理解できる。ここで、p40は、IL-12及びIL-23に共通するサブユニットであり(本件特許明細書の段落【0030】)、そして、本件特許明細書の段落【0012】には、IL-23アンタゴニストの例として「天然シーケンスのIL-23ポリペプチドサブユニット(例えばp40サブユニット)に対する中和抗体」が示されていることから、本件特許明細書では、前記抗IL-12p40抗体を抗IL-23抗体、すなわちIL-23のアンタゴニストとして用いていることが明らかである。 また、段落【0089】~【0108】及び図12には、IL-23欠損マウスにおいて、T細胞によるIL-17の産生が減衰していることが記載されており、IL-23の機能を抑制することにより、T細胞によるIL-17の産生を抑制できることが理解できる。 以上の事実から、IL-23アンタゴニストである抗IL-23抗体等により、IL-23により誘導されるT細胞のIL-17の産生を阻害可能であることは、本件特許明細書の記載及び出願時の技術常識から当業者が認識できるものである。 請求人は、請求項1の「T細胞によるインターロイキン-17(IL-17)産生を阻害するための」との記載は、「IL-17発現レベルが上昇している対象を選択する」ことを内在的に特定しているとの前提に立ち、「IL-17発現レベルが上昇している対象を選択する」ことが、従来技術において容易ではなかったとか、仮にそのような対象を選択することが「健康な被験体と比較してIL-17発現の上昇したレベルを有することを測定する」ことにより実現しうるとしても、本件元の出願との関係で、そのように解し得ない旨などを、主張する。 しかしながら、1.(1)において述べたとおり、本件特許発明1の組成物の用途は、請求項1に記載のとおりの「前記T細胞によるIL-17産生を阻害する」こと自体である。そして、本件特許明細書の記載及び出願時の技術常識から、IL-23アンタゴニストである抗IL-23抗体等でT細胞を処理することにより、T細胞によるIL-17の産生を阻害できることを当業者が理解し得たことは上述のとおりであるから、請求人の主張を採用することはできない。 したがって、本件特許発明1は、本件特許明細書に記載されたものであり、同発明に従属する本件特許発明2~12についても同様のことがいえる。
イ. 本件特許発明13~15、17~25について 本件特許発明13~15、17~25は、有効成分としてIL-23アンタゴニストである抗IL-23抗体又は抗IL-23レセプター抗体を含み、哺乳動物被験体に投与される組成物に係るものであり、その発明の課題は、1.(2)ア.において述べた理由のとおり、特定炎症疾患のうちでIL-17の上昇した発現がみられるものの処置である。 ここで、特許法第36条第6項第1号は、請求項に係る発明が発明の詳細に記載した範囲を超えるものであってはならない旨を規定するものであるところ、当該規定を満たすためには、発明の詳細な説明の記載及び本件特許出願時の技術常識から、本件特許発明13~15、17~25の上記課題を解決できるものと当業者が認識できる必要がある。 そして、以下(ア)~(ウ)に述べるとおり、慢性関節リウマチ、乾癬、及び、対宿主性移植片反応のそれぞれの特定炎症疾患の処置のいずれについても、当該規定を満たすものといえる。 (ア)慢性関節リウマチ
慢性関節リウマチについて、その患者の一部でIL-17の上昇が確認されたこと(記載事項乙1-ア~ウ)、マウス膝関節へのIL-17投与により軟骨の劣化が確認されたこと(記載事項乙2-ア~ウ)、慢性関節リウマチモデルであるコラーゲン・アジュバント誘導関節炎を有する動物モデルにおいて、IL-17の機能を抑制するIL-17受容体/Fcを用いると関節炎の症状が改善すること(記載事項乙5)、慢性関節リウマチモデルである自己免疫コラーゲン誘導関節炎を有する動物モデルにおいて、IL-17の機能を抑制する可溶性IL-17受容体タンパク質(sIL-17R:Fc、muIL-17R:Fc)を用いると関節炎の症状が改善すること(記載事項乙8-ア~ク)、及び、アジュバント誘導関節炎を有する動物モデルおいて、IL-17の機能を抑制するIL-17受容体/ヒトIgG1Fc融合タンパク質(muIL-17R:Fc)を用いると関節炎及び関節破壊の症状が改善すること(記載事項乙9-ア~キ)が出願時に知られていたことから、IL-17の機能を阻害することにより、IL-17の上昇した発現がみられる慢性関節リウマチの患者を治療可能であることは、出願時の技術常識から当業者が理解できたものといえる。 そして、IL-23アンタゴニストによりIL-23の作用を阻害し、それによりT細胞によるIL-17の産生を阻害可能であることは上述のとおりである。 してみると、有効成分としてIL-23アンタゴニストである抗IL-23抗体等を含む組成物を哺乳動物被験体に投与することにより、IL-17の産生を阻害し、それによりIL-17の上昇した発現がみられる慢性関節リウマチを治療可能であることは、本件特許明細書の記載及び出願時の技術常識から当業者が認識できるものである。(イ)乾癬
乾癬について、その皮膚病変部においてIL-17mRNAが発現していること(記載事項乙18-エ~オ、及び、記載事項乙19-ア~イ)、IL-17が、ケラチノサイトにおいて炎症性サイトカインであるIL-6及びIL-8の産生を刺激するサイトカインであり、乾癬治療のターゲットとなり得ること(記載事項乙16-ア~イ、記載事項乙17、及び、記載事項乙18-ア~ウ)が本件出願時に知られている。さらに、IL-6に対する抗体により、ヒト乾癬皮膚移植ヌードマウスにおけるラベリングインデックスの低下及び上皮厚の減少といった症状の改善がみられたことや(記載事項乙21-ア~ウ)、IL-8に対する中和抗体により、乾癬患者由来ケラチノサイトにおける血管新生が阻害されたことも本件出願時に知られており(記載事項乙20)、これらの知見から、IL-6やIL-8の機能を抑制することにより、乾癬を治療可能であることが当業者に理解できたものと認められる。 以上の事実から、乾癬についても、IL-17の機能を阻害することにより炎症性サイトカインであるIL-6及びIL-8の産生を抑制し、それによりIL-17の上昇した発現がみられる乾癬を治療可能であることは、出願時の技術常識から当業者が理解できたものと認められる。(以下、この2つの段落に記載された、乙16~21から把握される、本件出願時に当業者が理解できたと認められる事項を、「本件出願時のIL-17をターゲットとする乾癬治療に係る技術常識」という。) そして、IL-23アンタゴニストによりIL-23の作用を阻害し、それによりT細胞によるIL-17の産生を阻害可能であることは上述のとおりである。 してみると、有効成分としてIL-23アンタゴニストである抗IL-23抗体等を含む組成物を哺乳動物被験体に投与することにより、IL-17の機能を阻害し、それによりIL-17の上昇した発現がみられる乾癬を治療可能であることは、本件特許明細書の記載及び出願時の技術常識から当業者が認識できるものである。 ここで請求人は、乙18はIL-17とインターフェロンγの相乗的作用を報告するものであり、IL-17単独を阻害することによって乾癬を治療し得ることを裏付けるものではなく、IL-17についてはmRNAの発現を確認したのみで機能的なタンパク質の産生については確認していないと主張し、乙19はIL-10タンパク質を投与することによる乾癬治療における炎症反応について報告するものであり、IL-17を直接阻害する薬剤による乾癬治療を報告するものではなく、IL-10タンパク質を投与することで結果的に症状が緩和された際に、観察された複数のサイトカインの変動のひとつとして、IL-17の変化を記載したものに過ぎないと主張し、また、乙20及び乙21は、それぞれ抗IL-8抗体及び抗IL-6抗体による乾癬症状の改善を示すものに過ぎず、IL-17自体を阻害した場合の効果をなんら裏付けるものではないとして、IL-17阻害による乾癬治療の可能性を裏付けるものでもないことを指摘し、乙16~21の記載から、IL-17の産生阻害により乾癬の治療が可能であったことが本件出願時において技術常識であったとはいえないと主張する。 しかしながら、記載事項乙18-ア、イ及びケに示されるように、インターフェロンγの非存在下であってもIL-17が単独でIL-6及びIL-8の産生を刺激することが開示されているし、さらに、記載事項乙18-エにおける乾癬患者の皮膚病変部におけるIL-17のmRNAの発現は、乾癬におけるIL-17の病理的関与を示しているといえるから、乙16~18の記載を併せみると、IL-17がケラチノサイトにおいて炎症性サイトカインであるIL-6及びIL-8の産生を刺激することが理解される。 そうすると、乙16~21に、IL-17自体を直接阻害する薬剤による乾癬治療を報告するものはなくとも、ケラチノサイトにおいて乾癬症状を増悪させるIL-6及びIL-8の産生を刺激していることが認められるIL-17の産生を阻害することにより乾癬の治療が可能であることは当業者が十分に理解できるから、請求人の主張には理由がない。 さらに請求人は、記載事項乙21-エ~オを示して、IL-8やIL-6の上流にあると考えられる点でIL-17と共通しているTNF-αについては、抗TNF-α抗体ではなくTNF-α自体の投与によって乾癬症状が改善された旨が記載されているから、IL-17についても、実際にIL-17を制御しなければ効果が不明である旨、また甲23には、逆に抗TNF-α抗体をヒトに投与したときに乾癬性関節炎の症状が改善したことが示されているため(記載事項甲23-ア~イ)、上記のTNF-α自体の投与により改善効果が示されたとする、乙21のヌードマウスによる実験が実際の乾癬発症動物や被験体でのサイトカインの役割を正しく反映しているか疑問である旨、主張する。また、甲24及び甲25を示して、抗IL-6レセプターモノクローナル抗体や、抗IL-6モノクローナル抗体を投与しても乾癬症状の改善が観察されなかったから(記載事項甲24-ア~イ、記載事項甲25-ア~イ)、乙21を考慮しても、本件出願時、IL-6の産生を抑制することで乾癬が治療可能であるとの技術常識は存在しなかったと主張する。 しかしながら、TNF-αとIL-17は異なるサイトカインであり、IL-6やIL-8に対する作用や、乾癬症状や当該症状を引き起こす種々の生体機能に対して、両者がまったく同じように作用をすることなどは認められないから、TNF-αに関する知見を、IL-17に対してそのまま適用する請求人の主張には、技術的に無理がある。また、甲24、甲25は、いずれも本件出願後に頒布された文献である上、いずれも、特定の抗IL-6抗体、抗IL-6レセプター抗体に係る知見を示すにとどまるものであるから、請求人が示すこれらの証拠のいずれの内容も、上記の乙16~21から把握される、「本件出願時のIL-17をターゲットとする乾癬治療に係る技術常識」を覆すものとまでは認められない。 請求人は、甲26や甲28を示して、抗IL-8抗体の臨床開発が中止されたことなどから(記載事項甲26-ア、記載事項甲28-ア~イ)、乙20を考慮しても、本件出願時、IL-8の産生を抑制することで乾癬が治療可能であるとの技術常識は存在しなかったとも主張する。 しかしながら、臨床開発の中止が、必ずしも治療効果がまったくないことを意味するものではないことは当業者によく知られたことであり、実際、甲26では、プラセボによって治療された乾癬患者では3%の者が75%を超える改善を示したのに対し、300mgのABX-IL8で治療された乾癬患者では、より多くの割合である6%の者が75%を超える改善を示したことも記載されている(記載事項甲26-イ)。また甲28は、本件出願後に頒布された文献である上、甲26、甲28のいずれも、特定の抗IL-8抗体に係る知見を示すにとどまるものであるから、請求人が示すこれらの甲号証のいずれの内容も、上記の乙16~21から把握される、「本件出願時のIL-17をターゲットとする乾癬治療に係る技術常識」を覆すものとまでは認められない。 要するに、IL-23アンタゴニストによりIL-23の作用を阻害し、それによりT細胞によるIL-17の産生を阻害可能であることは、本件特許明細書の記載から把握できるから、上記の「本件出願時のIL-17をターゲットとする乾癬治療に係る技術常識」に基づいて、有効成分としてIL-23アンタゴニストである抗IL-23抗体等を含む組成物を哺乳動物被験体に投与することにより、ケラチノサイトにおいて乾癬症状を増悪させるIL-6及びIL-8の産生を刺激するIL-17の機能を阻害し、それによりIL-17の上昇した発現がみられる乾癬を治療できることは、本件特許明細書の記載と、本件出願時の技術常識から当業者が理解できたものである。(ウ)対宿主性移植片反応
対宿主性移植片反応について、ラット腎移植における拒絶反応時においてIL-17の上昇した発現が確認されたこと(記載事項乙3-ア~エ)、及び、マウス移植における拒絶反応が、IL-17の機能を抑制するIL-17受容体とFcの融合タンパク質(IL-17R/Fc、smuIL-17R、IL-17R:Fc)の投与により抑制されたこと(記載事項乙7-ア~イ及び記載事項乙10-ア~ウ)が出願時に知られていたことから、IL-17の機能を阻害することにより、IL-17の上昇した発現がみられる対宿主性移植片反応を治療可能であることは、出願時の技術常識から当業者が理解できたものといえる。 そして、IL-23アンタゴニストによりIL-23の作用を阻害し、それによりT細胞によるIL-17の産生を阻害可能であることは上述のとおりである。 してみると、有効成分としてIL-23アンタゴニストである抗IL-23抗体等を含む組成物を哺乳動物被験体に投与することにより、IL-17の産生を阻害し、それによりIL-17の上昇した発現がみられる対宿主性移植片反応を治療可能であることは、本件特許明細書の記載及び出願時の技術常識から当業者が認識できるものである。
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