3月13日に、「MCIって知っていますか?」というブログ記事を書きました。
MCIとは、Mild Cognitive Impairmentの略で、認知症の前段階の状態(軽度認知障害)を意味します。
記事中で、株式会社ERISAと滋賀医科大が特許(特許6483890)を取得したということを書いていたのですが、確認したところ、異議申立(2019/09/13)がされ、さらに取消理由通知書(2019/12/04)がでていました。
特許6483890の請求項1は以下のとおりです。
「【請求項1】
軽度認知障害の被験者が所定期間内にアルツハイマー病を発症するか否かの予測を行う診断支援装置であって、
前記被験者から取得した脳画像を灰白質、白質、および髄液部分に分割する領域分割部と、
前記分割された各領域に複数の関心領域を設定する関心領域設定部と、
各関心領域の体積について、各関心領域におけるt値およびp値を演算するt値およびp値演算部と、
前記t値およびp値に基づいて、各関心領域のz値を演算するz値演算部と、
機械学習された予測アルゴリズムに従って、前記被験者が所定期間内にアルツハイマー病を発症するか否かの予測を行う予測部とを備え、
前記予測部は、前記z値に基づいて前記予測を行う、診断支援装置。」
取消理由通知書では、進歩性欠如、サポート要件違反が指摘されています。
進歩性の主引例は、審査段階の拒絶理由通知書で引用された文献と同じです。引例2も同じです。どうやら、新たにクリティカルな文献が見つかったことが取消理由に効いたということではなさそうです。
特許査定が出たら普通は一安心するところですが、特許公報発行から6ヶ月は異議申立ができるので、この期間は完全には安心できないですね。6ヶ月経過後も無効審判が可能ですが、異議に比べると件数は圧倒的に少ないです。
6ヶ月過ぎるまではニュースリリースしないっていうのもありかもしれないですね。競合会社がちゃんとしてれば、どちらにしろ特許をウォッチング(SDI)しているかもしれないですが。
今後は、特許権者から意見書(任意に訂正請求)が提出されることになります。
また数ヶ月後に経過を確認してみようと思います。
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